信州は、かつてより現在にいたるまで、さまざまな文化人が集い、交流をあたため、創作のための仕事場や一夏を過ごす住まいを求める美しい自然を擁しています。
そんな信州を愛した人たちのなかに詩人立原道造がいます。
立原は夏の軽井沢・追分に、兄事していた堀辰雄らを訪ね、多感な一時期を過ごしました。
立原は夭逝の詩人として、その繊細で美しい詩が広く知られておりますが同時に東京帝国大学工学部で建築を学び、建築家としても優れた才能を示した人でした。またパステル画をよくし、淡く美しい色彩の作品を残したことでも有名です。
上田市塩田の「信濃デッサン館」では、詩の草稿をはじめ、絵画、ノート、建築図面など、立原独自の感性と多面的な才能を示す資料3000点あまりを迎え入れ、先に展示コーナーを新設・オープンしておりますが、このたび当館にお、それらの資料のなかから選りすぐりのものをもって『詩・絵・建築 立原道造の世界 〜のちのおもひに〜』展を開催するはこびとなりました。
病床で「五月のそよ風をゼリーにして持ってきて下さい」という言葉を残し24歳で風になってこの世から去っていった立原道造。
かれの作品は今も、私たちを優しく美しい世界に導いてくれます。この機会に、心ゆくまで立原の世界を味わっていただけますように。